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 マーケティングのような、お話。

 

 スジャータのアイスクリームには、おそらく根強いファンも多いと思うし僕自身もたまに

 食べるのだけれど、新幹線車内と東京駅でしか買えないとか、アイスクリームに厳格な

 カテゴリーが存在するなんて、知らなかった。逆に、そう知ればもっと食べたくなる。

 何ていうか、人間というものは、なかなか手に入らないものを欲しがる傾向にあるようだ。

 しかし、それが本当に手に入らないとわかればあっという間に人々からその熱は冷めて

 しまうし、流通して一般化してしまうとそれはみるみる陳腐化してしまう。まさに、

 マーケティングの一端をリアルに見る想いである。僕はこの記事を読んだ時に心から祈った。

 「どうか、このアイスが陳腐化しませんように」と。

 つい先日、あの行列数時間待ちといわれるポッキーの高級版「バトンドール」を

 うめだ阪急地下で見た。これもWEBなどでは買えず、ここでしか買えない商品である。

 その時はたまたま平日の昼間だったこともあり、7人ほどしか並んではいなかった。

 絶好のチャンスだった。僕はどうしたか? うーん。買わなかった。きっと、おそろしく

 美味しいんだろうとは思う。ある意味で時代のアイコンだし、贈れば今でもおそらくほぼ

 喜ばれることは間違いないだろう。でも、僕らの仕事ってそういうことじゃないような

 気がする。

 (2016.08.23)



 音楽と日本経済について、少しだけ語ろう。


  音楽という芸術は、文化だけでなく、間違いなく日本経済の発展に寄与している――

 なんて書くと経済論評みたいだけど、本気で思うのだからしかたない。単なる観客動員数や

 ディスクの売上げ、だけではない。メッセージ性のある歌詞、リズム感。あるいは人生観。

  僕自身は、移動中以外は音楽をほとんど聴かないのだけれど、それでも改めて感じる時が

 ある。音楽は潜在的な思念に強く関与し、当然の結果として行動に現れる、と。ミューズと

 いわれる神が存在すると言われる所以はおそらく、そこなのだと思う。人間の脳に作用して、

 それがスイッチを入れて経済行動へと誘導する。研究の歴史は?成果は?論拠は?

 ・・・気になるなあ。これはまるで髪の毛モジャモジャの脳科学者の専門分野である。

 それだけで論文が一本ぐらい書けちゃいそうですね。

  とにかく、勇気とか、信念とか、情熱とか、そういうものに芸術が何らかの関与をしている

 のであれば、音楽はもっとビジネスに活用すべきである。児童教育や社員教育、効率向上とかね。

 音楽の授業でそんなこと教わった記憶、ないぞ。あー、もったいない! 


 追伸

 実は、個人的にはどうしても集中できない時は、カンフル剤的に聴く70分の音源があります。

 通販コスメブランドのOriginsが16年ほど前に販売していたもので、それを僕はうめだ阪急の

 化粧品売場で試聴して買った記憶があります。すっごく効くんです、これ。

 Origins Music Project Vol. 1 - Blue_Green

 (2016.08.02)



 禅問答。


 言うまでもないけれど、やはり情報というものは新しく正確でなければ価値がない。

 そして、野球選手の素振りのようにその情報を使って常に「シミュレーション」を

 していなければ意味がない。これだけ激しく変わり続ける世の中で、情報に関わる

 仕事を――少なくとも我々クリエイターに関してだけれど――続けていくためには、

 やはり旬な情報武装と素振りが必要だと痛切に思う。

 たとえば、クライアントがクリエイターを試す場合だってある。

 それは、ある日の打ち合わせの帰り際にふいにやってくる。

 エレベーターを待つ間、クライアントがあなたにこう言うのだ。

 「すごいですよねえ、あの会社、どうやって儲けているんでしょうねえ・・・」、と。

 あの? 会社? 儲ける? エレベーターは近づいてくる。

 まるで禅問答である。

 ここで評価が上がる会社、上がらない会社が二分される場合があると思う。

 この問いかけには、4つの要素が含まれているのではないかと思う。

 1つめは時事問題の基礎知識、2つめは自分の意見の有無、3つめは一を聞いて十を

 出そうとする姿勢、四つめは――おそらく咄嗟の場合の判断力ではないだろうか。

 一流のホテルコンシェルジュは、顧客の想像を超えたアイデアを出して

 「Are you crazy?」と褒められる。なぜか? それは、常日頃から素振りを

 怠らないからだと思う。

 禅問答といえば、スティーブ・ジョブズの有名な逸話がある。

 ある時、ジョブズはメールで部下に指令を出した。

「世界中の倉庫をすべて閉めろ」と。

 うーん。残念ながら僕はわからなかった。悔しかった。

 http://bright-magazine.com/biz/642/

 クライアントは、クリエイターに対して常に禅問答を期待している。

 まるで、超ハイレベルのクイズ番組のように。さて、次の問題です。

 http://bizacademy.nikkei.co.jp/quiz/quiztestlist.aspx?cd=BBE81DE0518D42998CDCD830CC96BEC2

 (2016.07.20)



 サービスの質は、空気で決まる。

 2週間ほど前の雨の午後、大阪淀屋橋郵便局に行った時のことである。

 雰囲気のよさに、驚いた。いや、民営化の影響はたぶんにあるかもしれないが、

 単にそういうことではなく、一瞬、上品なホテルのフロントにいるような

 不思議な上質な空気を感じたのだ。


 なんていうのだろう、おもてなしされている感じ? 気持ちのいい緊張感? 

 あるいは局員の方々のプロ意識の高さ? 

 この雰囲気は、今までどの郵便局でも感じたことはなかった。

 そして、そのとき僕は思った。当たり前のことだけれど、

 「ああ、このように職場そのものが接客スペースとなっている場では

 そこで働いておられる方々のオーラというのは伝わるのだな」と。

 ありますよね、「味は普通なのに、なぜか居心地のよさを感じるお店」が。


 実際、その午後に起きた出来事はまったく大したことなどではなかった。

 数枚の紙幣を両替してもらい、郵便物を出して切手を貼ってもらっただけである。

 ごくふつうと言えばふつうである。しかし、おそらく局員さんの笑顔や話し方、

 その他いろいろなものが、その〝場〟に「何かふしぎと気持ちのいいもの」を

 創りだしていたのかもしれない。


 世の中には「ベストホテル」などカテゴリ別の評価基準があるようだけれど、

 そんなのなくしちゃっていい。そうだ、新しいビジネスモデルとして、

 業種・業界をいっさい問わず、接客のプロによって審査される「おもてなしランキング」を

 創ればいいのではないか。ミシュランみたいにね。山奥の温泉があったり、

 あるいは商店街の帽子屋さんとかだったり。

 マスから個の時代へ、というのはサービス品質にも言えるかもしれないですね。

 (2016年7月13日)



 それは決してエアコンという発想ではなく。


 今の世の中にあっても、まだ意外と新しい発明の余地がある。

 バルミューダのトースト、ダイソンのヘアドライヤー。

 家電製品に限らないが、身近な例で言うと、

 音の出ない冷房装置。

 暖房装置で音が出ないものはオイルヒーターがあるのに、

 なぜ冷房装置はないのだろう? とおもう。

 そもそもエアコンの機構云々などという既成概念からの発想ではない。

 AppleがiPhoneを発明したように、

 音がまったく出ない冷房装置があれば、

 きっと革命が起きるだろう。

 たとえばマイナスレベルの液体窒素を

 発生させる機械とか? ・・・無学のぼくにはわかりませんけど。

 そろそろ、スマホも飽きてきた。

 チャンスなのにな。

 (2016年7月6日)



 楽しめばいい。


 大学の頃、有志と一緒に英語セミナーを開催するための

 勉強会をしたことがある。

 その時、一人のアメリカ人の女子大生がいた。

 なぜか名前をきっちり憶えている。

 メリッサ・カークランド。

 どこの州だったかは忘れたけれど、とにかく

 明るくてポジティブな女の子だったように思う。

 勉強会を前に、僕と彼女は、まだ誰もいないテーブルに

 テキストを配ろうとしていた。

 その時だった。

 ふいに彼女が急にいたずらそうな表情を浮かべて、

 どっちが速いか競争をするかのように

 ものすごい勢いで素早くテキストを配り始めたのだ。

 僕は、その時思った。

 「そうか、楽しんじゃえばいいんだ!」と。

 これも一つの才能じゃないかな。

 結局、その「レース」では互角だったように思う。

 その後、彼女とハイタッチをしたと記憶している。

 僕は、まだ行ったことのないアメリカの雰囲気を

 垣間見たような気がした。

 そうだ、楽しめばいい。

 そこから、何かが生まれるのだ。

 (2016年7月3日)



 幸せって、何だ?

 以前は、毎晩のウイスキーが小さな幸せのカタチだった。

 でもある時、ふと思い立って習慣的な飲酒を止めた。

 で、お酒を飲まなくなってからはどうだ?

 幸せじゃない・・・と、思うでしょう?

 いや、それが思ったほどでもなかったんです。

 それよりも、ひらめき、気づき、記憶が増えたことに気づいたわけ。

 仮にここで「幸せの3K」としておきましょう。

 といっても、元々が人よりも低レベルなのでまだまだ人並み以下ですが。

 まさに! 望んでいたことだったから驚きだった。

 むしろ幸せを感じる瞬間が増えたことに驚いたわけ。

 お酒の酔いは醒めるけど、3つの「K」は醒めない。

 むしろ、増殖する。

 頭がもじゃもじゃの脳科学者に言わせれば、

 できないことにチャレンジして成功するとドーパミンが出るらしい。

 僕の場合、お酒を止めるという初体験で、

 違うメリットが得られてしまい、

 ついドーパミンがじわじわと出続けてしまっているようだ。

 お酒が止められない皆さん、ぜひお試しください。

 経験上、断言します。

 お酒を習慣的に飲むよりも、

 30倍ぐらいきもちいい。

 何かを止めると、何か見えてくるものなんだね。

 (2016年7月1日)



 世の中には、二種類の人間がいる。

 ・・・というのは、

 日産のCMで矢沢永吉氏が言うキャッチフレーズだ。

 本当にそう思う。そして、いつも自問自答する。

「おまえは、本当にやっちゃえてるかい?」と。

 答えは、ほんの少し先にある。

(2016年6月29日)



 2回目のカフェオーレと株式上場。


 つい最近、僕・松井がコメダ珈琲へ入った時に感心した話を紹介します。

 その店員さんは、お客様(女性)が離席中とは知らずに

アイス・カフェオーレをテーブル席の近くまで運んで行きました。

 しかしお客様がご不在と知ると、その店員さんは踵を返してカウンターへ戻り、

厨房へ向かって「お客様、離席中です!」と伝えたのです。

 おそらく、そのカフェオーレは廃棄されたのでしょう。

 僕の席はカウンターのすぐ近くだったので、

厨房の中の音が聞こえていましたから。

 僕は、このあと店員さんはいったいどうするのだろうと思い、

半ば興味本位で耳を欹てていました。

 やがて、約15分後。

 席にお客様が戻ってくると、

カウンターに待機していたその店員さんはそれを確認するや否や、

「お客様お戻りでーす!」と厨房に伝えました。

 そしてすぐにカフェオーレは作り直され、何事もなかったかのように

お客様のところへ運ばれていったのです。

 見事な連携プレーでした。

 僕はいわゆるサービスの常識やお店のマニュアルなどはよく知りません。

 これを読んで「そんなの別にふつうじゃん」と思う人もいるかもしれませんし、

 実際にどこのお店でも普通にしていることかもしれない。

 もちろん、そこまではしない店もあるでしょう。

 しかし、その場に居合わせたごく一般的な客の一人としては、

やはり純粋に感心せざるを得ませんでした。

 そして今回の上場のニュースを見て、

『よっ!いいぞ、コメダ珈琲!』と思いました。

 数々の競合がひしめく中で、低単価の業態の企業が成長できている理由が

少し見えたような気がしたのです。

 そして、これだけは言えると感じました。

「ビジョンを社員が共有する企業は強い」と。

 http://www.komeda.co.jp/company/index.html

 余談ですが、その女性のお客様はその後に注文して食べ残したサンドイッチを

お店からラップをもらってバッグにしまい、帰っていきました。

 こういうのもなかなか素敵ですよね。

(2016年6月28日)